KYT(危険予知訓練)は、製造業をはじめ、様々な業界における安全対策として取り入れられています。職場に潜む危険性や有害性を事前に予測し、回避する能力を高めるにはどのような訓練が必要なのでしょうか。本記事では、KYT(危険予知訓練)の目的や具体例などについて解説します。
KYT(危険予知訓練)とは
KYT(危険予知訓練)とは、あらゆる作業現場や職場に潜む危険要因を事前に発見し、解決する能力を高めるための訓練手法です。
KYTは「K」危険、「Y」予知、「T」トレーニングの頭文字をとった略称です。
もともとは大手鉄鋼メーカーが開発した手法で、中央労働災害防止協会が労働災害防止のためのアプローチとして普及を進めました。さらに、旧国鉄の安全確認手法である「指差し呼称」と組み合わさることで「KYT4R法」が確立し、全国のあらゆる企業で導入されるようになりました。
KYT(危険予知訓練)の目的

KYT(危険予知訓練)にはどのような目的があるのでしょうか。
労働災害や事故を未然に防ぐ
KYT(危険予知訓練)の最大の目的は、従業員一人ひとりの危険意識を高め、労働災害や事故を未然に防ぐことです。
危険に対する意識を高めることで、職場で起こり得る問題や危険を事前に予測して対策を講じることができるようになり、安全な労働環境を整えることに繋がります。
職場における危険ポイントの洗い出し
KYT(危険予知訓練)を実施することで、労働環境における危険ポイントを客観的に洗い出すことができます。
危険ポイントを洗い出すことで、危険性を可視化することができ、起こり得る危険を予測する能力の向上が可能です。
指差し呼称による確認を習慣化させる
KYT(危険予知訓練)では、危険が予測されるポイントの具体的な指差し呼称を繰り返し行い、危険意識の向上に役立てています。
職場でのあらゆる箇所における指差し呼称を習慣化することもKYT(危険予知訓練)の重要な目的のひとつです。
KYT(危険予知訓練)の進め方

ここでは、KYT(危険予知訓練)の基礎的な進め方について紹介します。
KYT(危険予知訓練)は、「KYT基礎4R法」の手順よって進められます。
KYT(危険予知訓練)に必要な準備
まずは、KYT(危険予知訓練)を実施するための準備をします。
|
R1:どんな危険がひそんでいるか(現状把握)
イラストシートなどに記された職場環境や作業状況などを見ながら、その中に潜む危険をチームで話し合いましょう。
話し合う際には、危険要因とその要因が引き起こす現象について想定しながら共有します。
R2:これが危険のポイント(本質追究)
R1で共有した危険の中で、重要だと思われる危険を把握して〇印をつけ、さらにその中で絞り込み合意した事項には◎印とアンダーラインをつけて、皆で指差し唱和して確認します。
R3:あなたならどうする(対策樹立)
R2で選んだ危険ポイントを解決するにはどうしたら良いかを考え、具体的な対策案について話し合います。
R4:私達はこうする(目標設定)
R3で挙げられた対策案の中から皆の合意で絞り込み、※印をつけて「重点実施項目」を決定します。
さらにそれを実践するためのチーム行動目標を決め、指差し唱和で確認します。
身近に潜む危険とは?KYT(危険予知訓練)の具体例

では、実際の労働環境では、どのような危険が潜んでいるのでしょうか。
ここからは、様々な労働環境におけるKYT(危険予知訓練)の一例を紹介します。
ぜひ、皆さんも、先述したR1~R4の手順でKYT(危険予知訓練)に取り組んでみてください。
建設業におけるKYTの具体例
【状況】 工場内の製造ラインで製品の組み立てを行っています。 部品が供給される棚と作業台の間には、製品を運ぶための台車が置かれています。 この作業は長年のベテラン作業員が行っており、手元を見ずに慣れた手つきで部品を取ろうとしています。 【考えられる危険性】
|
建設業におけるKYTの具体例
【状況】 建物の解体現場での解体作業中です。 作業員が解体による破片などを開口部から下におろしています。 このあと雨が降る可能性があり、天候を気にしながら作業を進めています。 【考えられる危険性】
|
事務作業におけるKYTの具体例
【状況】 オフィスでパソコン作業を行っています。 席の周りには複数の電源コードが絡まり、床に散らばっています。 また、飲みかけのペットボトルが机の端に置かれています。 【考えられる危険性】
|
これらの事例において、危険を回避し安全に実施するには、どのような対策が挙げられるかご自身の考えをまとめてみましょう!
トリートが取り組む安全対策

ここまでKYT(危険予知訓練)の概要や進め方について紹介してきましたが、従業員が安心して働くための取り組みは、KYT(危険予知訓練)だけに限りません。
製造業をはじめ、エンジニア職などの求人を数多く扱う株式会社トリートでは、社員だけでなく派遣スタッフの安全管理も徹底し、安心して活躍できる環境づくりを整えています。
事故防止の意識を高めるための朝礼
毎日朝礼を行っている企業の中には「その日の予定を報告するだけ」になり、つい気が緩みがちになっているケースも少なくないのではないでしょうか。
しかし、慣れや気の緩みこそが、労災や事故の原因にも繋がるものです。
当社では、「事故なく安全に過ごそう」という意識を常に持ち続けるため、朝礼を当番制にし、毎日違った視点で朝礼報告が行えるようにしています。
当番制にすることで、毎日小さな発見がうまれ、常に安全への高い意識を持ちながら始業することができるのです。
月1回の労災報告と安全対策
当社では、毎月の定例会議にて労災報告を行っています。
また、労災報告があった場合には、詳細に調査を行い、労災の原因究明や事故防止に向けた対策の検討も行います。
決して派遣先企業に任せきりにすることなく、派遣スタッフさん一人ひとりが安心して長く働くことができるよう、徹底した安全管理を行い、サポート体制も整えています。
まとめ
今回は、安全な労働環境を整えるうえで欠かせないKYT(危険予知訓練)について紹介しました。
労働災害や業務中の事故は、業務に慣れてきたりつい気が緩んでしまったりした時にこそ発生しやすいものです。
だからこそ、定期的にKYT(危険予知訓練)を行い、危険防止の意識を高めることが大切です。
また、KYT(危険予知訓練)に限らず、日頃から一人ひとりの安全管理を徹底することが、事故を未然に防ぎ、安心して長く活躍できる職場づくりに繋がるのではないでしょうか。
株式会社トリートでは、電気設備の設計や開発、製造や点検など、電気に関する知識を活かせるお仕事を多数ご紹介しています。
また、安全対策の徹底に加え、スタッフ紹介制度や資格取得支援、キャリアアップ支援など、豊富な福利厚生もご用意し、モチベーション高く活躍できる環境を整えています。
安心して働ける環境で、あなたの経験やスキルを存分に発揮してみませんか?
まずは下記リンクより募集要項をご確認ください。